書くことで理解を深める!読書とジャーナリング連携術
読書内容を血肉にする「ジャーナリング連携」のすすめ
「本を読んでも内容をすぐに忘れてしまう」「読書が知識の蓄積にとどまり、実生活に活かせない」。このように感じている方は多いのではないでしょうか。忙しい日々の中で確保した貴重な読書時間を、より深く、そして確実に自分のものにしたいと願うのは自然なことです。
効率的な読書術ラボでは、単に速く読むだけでなく、読んだ内容を深く理解し、記憶に定着させ、最終的に自身の思考や行動に変化をもたらすための様々なテクニックを紹介しています。その中でも、読書体験を質的に向上させ、内省と自己成長を促す強力な方法の一つが、読書と「ジャーナリング」を連携させることです。
ジャーナリングとは、日々の出来事や思考、感情などを自由に書き出す行為を指します。読書とこのジャーナリングを組み合わせることで、受け身になりがちな読書を能動的な学びへと変え、内容の深い理解と長期的な記憶定着を図ることが期待できます。この記事では、読書とジャーナリングを効果的に連携させる具体的な方法と、その実践がもたらす効果についてご紹介します。
ジャーナリングとは?読書と連携するメリット
ジャーナリングは、特別なルールに縛られない自由な「書く」という行為です。日記のように出来事を記録するだけでなく、頭の中で漠然と考えていることを言語化したり、心の中で感じている感情を探求したり、特定のテーマについて深く掘り下げて考察したりと、様々な目的で行われます。
このジャーナリングを読書と連携させることには、以下のようなメリットがあります。
- 思考の整理と明確化: 読書中に抱いた疑問や感想、連想したアイデアを書き出すことで、思考が整理され、曖昧だった点が明確になります。
- 内容の定着促進: 書くというアウトプット行為は、脳に内容を強く印象づけ、記憶への定着を助けます。
- 自己との関連付け: 本の内容を自分自身の経験や既存の知識、価値観と結びつけて書くことで、知識がよりパーソナルな意味を持ち、忘れにくくなります。
- 深い内省と洞察: 本のテーマや主張について深く考えるプロセスをジャーナリングで辿ることで、表面的な理解を超えた洞察が得られます。
- 知識の実践への橋渡し: 読んだ内容をどう活かせるかを具体的に書き出すことで、抽象的な知識を行動に移すための具体的なステップが見えてきます。
読書とジャーナリングの連携テクニック
読書ジャーナリングには様々な方法がありますが、読書のプロセスに合わせて実践することで、より効果を高めることができます。ここでは、「読む前」「読書中」「読後」に分けて具体的なテクニックをご紹介します。
1. 読む前のジャーナリング:思考の準備運動
本を開く前にジャーナリングを行うことで、読む姿勢を整え、目的意識を高めることができます。
- 読む目的を書き出す: なぜこの本を読むのか?何を知りたいのか?解決したい課題はあるか?といった、読む目的を具体的に書き出します。
- 事前知識の棚卸し: その本に関連して、既に知っていることや以前読んだ本の内容、自分の経験などを書き出します。これにより、新しい情報を受け入れるための「フック」が明確になります。
- 期待や疑問を書き出す: この本からどんなことを学びたいか、どんな疑問に答えが見つかるか、といった期待や疑問を書き出すことで、読書中のアンテナ感度が高まります。
2. 読書中のジャーナリング:思考を可視化する
読書をしながら気になった点や心に留まったことを書き出すことで、内容をより深く掘り下げ、思考の過程を記録できます。
- 気になった箇所への反応を書き出す: 「この一文に強く共感した、なぜなら〇〇だからだ」「この主張には疑問を感じる、その理由は〇〇ではないか」「これは自分の経験の〇〇に通じる」など、ページ番号と共に具体的な反応を書き留めます。
- キーワードや概念の自分なりの解釈: 本に出てくる重要なキーワードや難解な概念について、自分なりにどう理解したかを言葉にして書き出します。辞書的な意味だけでなく、自分にとってそれがどういう意味を持つかを書くのがポイントです。
- 本の内容と自己経験・既存知識の関連付け: 読んでいる内容が、過去の自分の経験や、他の本・情報源で得た知識とどのように繋がるかを積極的に書き出します。これにより、知識が孤立せず、ネットワークとして構築されます。
- 疑問や反論の深掘り: 「著者はこう述べているが、別の視点からはどう考えられるか?」「この論拠は本当に正しいか?」「もしこれが自分の状況なら、どう応用できるか?」といった、問いや反論を深掘りして書きます。
3. 読後のジャーナリング:内容を統合し、実践へ繋げる
本を読み終えた後にじっくりとジャーナリングを行うことで、内容を統合し、学びを定着させ、具体的な行動へと繋げることができます。
- 本全体の要約: 本の最も重要なメッセージ、主張、主要な論点を自分自身の言葉で簡潔にまとめます。章ごとに要約するのも有効です。
- 最も響いた部分と変化: 本の中で最も印象に残った箇所や、自分の考え方・感情に最も影響を与えた部分について詳しく書きます。読書を通して何がどう変化したかを内省します。
- 学びの実践計画: この本から得た知識や洞察を、実生活や仕事、趣味などにどのように活かせるかを具体的に考え、行動計画として書き出します。「〇〇という状況で、本の△△の考え方を試してみる」「関連情報をさらに学ぶために□□を調べる」など、具体的なアクションをリストアップします。
- さらに探求したいテーマ: この本を読んだことで、新たに興味を持ったテーマや、さらに深く学びたい関連分野があれば書き留めます。これは次の読書や学習のモチベーションに繋がります。
ジャーナリングを読書習慣の一部にするためのヒント
読書とジャーナリングの連携を継続するためには、いくつかのポイントがあります。
- 形式にこだわらない: 高価なノートや特別なペンを用意する必要はありません。使い慣れたノート、手帳の余白、スマートフォンのメモアプリ、PCのテキストエディタなど、自分が最も手軽に「書ける」と感じるツールを選びましょう。
- 完璧を目指さない: 達筆で書く必要も、論理整然とした文章を書く必要もありません。頭の中に浮かんだこと、心に感じたことを、ありのままに書き出すことが重要です。
- 時間を決めすぎない: 毎日決まった時間に書くのが難しければ、気が向いたとき、あるいは読書の前後に数分でも良いので書く時間を取り入れましょう。短時間でも書く習慣をつけることが大切です。
- 書いたものを見返す: 定期的に過去のジャーナリングを読み返してみましょう。書いた時点では気づかなかった新しい発見があったり、自分の思考や興味の変化に気づいたりすることができます。
ジャーナリング連携がもたらす深い学びと自己成長
読書とジャーナリングの連携は、単に情報を覚えること以上の価値をもたらします。書くという行為を通じて自己と対話することで、読書で得た知識が表面的な情報としてではなく、自身の内面と深く結びついた「生きた知識」となります。
これにより、読書が単なる情報収集の手段から、自己理解を深め、思考力を鍛え、新しい視点やアイデアを生み出すための強力なツールへと変わるでしょう。そして、得た知識を自身の言葉で語り、考え、実践することで、読書は確実にあなたの自己成長を後押ししてくれるはずです。
読みっぱなしの読書から一歩進み、読書とジャーナリングを連携させることで、より豊かな学びと自己成長の道を切り拓いてみてはいかがでしょうか。